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虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん、ischemic colitis〈IC〉)とは、大腸の可逆的な血流障害により、限局的に大腸粘膜に浮腫、出血、潰瘍などを生じる急性疾患です。
端的に言うと、大腸に栄養や酸素を供給するための血管が一時的に詰まってしまうことで、大腸に炎症(粘膜のただれ・潰瘍など)が起こる病気です。
左側の下行結腸やS状結腸が好発部位といわれています。
臨床経過により、以下のの3型に分類されます。
(1)の一過性型が最も多く、比較的良好な経過をたどります。
発生頻度は不明で、男女比は3:7と女性に多いとされています。
好発年齢は平均60歳前後ですが、最近では動脈硬化のない若年者にもしばしば見られます。
突然の腹痛と圧痛、その後に続く血性もしくは水様下痢が典型的です。
他に悪心・嘔吐や腹部膨満感、発熱を認めることもあります。
腹痛が左下腹部に多いのは、虚血性大腸炎の好発部位が左側結腸であることにも起因します。
一過性型では通常、腸管安静のみで1週間以内に症状が改善します。
狭窄型では発症1カ月を経過しても開放性潰瘍が残存し、管腔狭小化を起こし症状が長期にわたることがあります。
病変が筋層に及ぶと、腹膜刺激症状として反跳痛(おなかを押して離すときに響くような痛み)を認めることがあります。
手術適応となり得る壊疽型の場合には、腹痛は通常より激しいものの、発症初期には腹膜刺激症状を伴わないこともあるため注意が必要です。
急な腹痛や血便を認めた場合には虚血性大腸炎を疑い、抗菌薬が未使用であること、便培養あるいは大腸生検組織の細菌培養を確認し、薬剤性大腸炎、感染性腸炎を除外することが肝要です。
特に虚血性大腸炎は下行結腸からS状結腸の間に発症することが多く、他の急性腸炎との鑑別点になることが多く、確定診断には大腸内視鏡検査は極めて有用です。
当院でも大腸内視鏡検査を行っております。詳しいご案内はこちらをご覧ください
急性期には粘膜の発赤や浮腫、出血、びらんや潰瘍などが観察されることが一般的ですが、経時的変化が著しく、軽度例では数日以内に病変が消失してしまうことも多々あります。
また、潰瘍病変は半数以上で縦走性にみられるのも特徴的です。
腸管安静による保存的治療が原則で、高度の炎症反応や症状が強い場合には、入院による絶食・補液管理が必要かつ有用です。
まれに急性期に腸管壊死や穿孔に伴う腹膜刺激症状や大量出血があった場合には外科的切除が必要となる場合もあり注意が必要です。
突然の腹痛、その後の下痢・下血は、虚血性腸炎の疑いが強いです。
基本的には安静・絶食で腸管を休めてあげることで改善が見られますが、大腸癌などの悪性疾患が潜んでいる可能性もあります。
何かお困りの際には、是非一度ご相談ください。